村上春樹は二冊しか読んでいませんのでお手柔らかに。

以前のお仕事では、「文字の間違い」ということには、
かなり敏感になってしごとをしていた。

出来上がってきた原稿に対しては、ほぼ100%文字の確認、
校正をしていた。
お客さんにOKをもらう、それはもう神様がGoを出してくれるということ。
なので、神様の言うことには間違いがない、
ということで、そのまま進んでいいわけだよ。
そう、
本来なら神の仕事には間違いがないわけで、
神の言う事は絶対なわけで、、、

しかし、神様はきまぐれ。
間違いが起こると、それは神のせいではなく、わたしのせいになる。
え、わたす?

OKもらってるのに、もらってるのに、、、
なんだかとてもリスキーだった。
だから、わたしは誰が正しいと言っても、疑ってかかるようにしてた。
(それでも時に間違いはあるし、忘れた時に限って事故は起こる。)

まあそんな甲斐もあって、その敏感性が身に付いたわけなのだ。


だ、だ、だけど、
新しいお仕事では、日々提出される書類についてほぼノーチェック、
むしろチェックしなくていい、と言われてしまった。
まじなの?!
その書類はある意味、とても大切で、間違いは許されないもの。
にも関わらずノーチェックでよろしいですと、、、!

どーーーうも、それに納得できなくて、
試しにチェックしたら、案の定間違いがあって。
×聞きずらい→○聞きづらい
とか。
あかんって!そんな間違い。

なんとか水際で防ぐことができたけれど、
きっとこんなことはたくさんあるんだろうなぁ、
それを知ってしまってから見ないふりなんてできない。
でもチェックもできない。

ジレンマ!葛藤!
嗚呼ストレス。これは。
このまま鈍感になってしまうのか、いいのか!それで。


そういえば、村上春樹ぽく物事に始末つけるというのが
はやってるみたいですな。

◆◆◆
「確認したのかい?」
僕は聞いてみた。
「大丈夫だよ。」
彼女は頷いてしばらくペンの先を見ていた。
「じゃあそれをいただくことにするよ。」
僕は彼女の封筒の中に込められた何かが気になった。
そしてそれは僕の胸を息苦しくさせた。


ていうくらいストレス。