自分ではつくれないのでリ・利用です

昨年の冬くらいからだったかな、本にカバーをつけることにした。

カバーといっても、布製の立派なものでもなく、
そのへんでもらってきた美術館のチラシとかフリーペーパーとか雑誌とか、
きゃわいい〜!と言って集めてはそのまま放置されている紙類。

これがまた、A4サイズの大きさが文庫にちょうど合う。
どれつけてもかわいければいいかなーと思ってたけれど、
せっかくだからと、その文庫に合うカバーをつけてみることを始めてみた。

すると、あらまあ。
名は体を表すといいますか、カバーはあらすじを表すといいますか、
内容に合わせてカバーを選ぶと意外としっくりくる。
装丁がすきでなくても気にならない。
何読んでるかもわからない。
さらに、カバーからもその本の印象がわきたって、
こう、読まずともテンションが上がるというか。

本を読むことよりも、本のカバーを選ぶことのほうが楽しいくらい。
旅行前の準備が楽しい、のと同じかな、



群ようこかもめ食堂

いわずと知れたかもめ食堂
映画を見れたのもやっとこさだったけれど、
原作を読めたのはほんと最近で、
でも、映画はほんとに原作の世界を表現してたんだなーと
読んでても想像ができて心地よかった。
映画化成功バージョンなのかな。

このカバーにしたのは、この淡い色づかいもそうなんだけれど、
なんせ木目が入ってたこと。
よくもまあこんな丁度よい紙があったこと。
dddギャラリーのチラシだったな。
そんなフィンランドぽい展示じゃないけれど、ちょうどよかったなあ。



山田智彦「実験室」

どこかの古本屋さんで買った本。
昭和46年に書かれた話。(文庫が出たのは昭和53年、遅いね)
色んな会社のサラリーマンが、会社の命令で人格改造のための1週間の
セミナーに参加をする。
そこで、腹を割って話をして、自分自身を見つめ直して裸になる。
(文字通りではなく心がってこと)
人間の集まりなので、自分をみつめすぎておかしくなったり、
殴り合いが起こったり、逃げ出すひとがいたり。
40年以上前のサラリーマンも、人間関係で悩んでいるし、
将来について悩んでいるし、まるで現代と変わらない。
読んでて、これほんとに昔に書かれたの?って思ってしまうほど、
リアルに痛々しい話。


当たり前ながらカバーは読む前につける。
あらすじや、時にはタイトルだけで選ぶこともあるんだけれど、
読み進めていくうちに、やっぱりこのカバーでぴったりだったという
確信が出てきたときは、ちょっとうれしい。
久々にいい楽しみをみつけたもんだなー。
電車で寝るのをもう少し控えよう。