ひとでも、ものでも経緯を知ると感情移入できる

さいきん、葬祭について調べていて、そのまま古墳についても突入して行き着いた施設。
大林組の資料館。
もともとの本社があったビルの中にある。
平日の9時から17時までしかオープンしていない。

何を目的で行ったのかというと、
ここが季刊で出しているお得意様配布用の冊子を閲覧するため。
各号ひとつのジャンルの建築物などを紹介していて、
例えば、広場、お寺、月、ピラミッドなんていうのがある。

わたしが見たかったのは古墳について書かれている号。
仁徳陵について、現代の工法と古代の工法で比較してお金や時間、人数など試算している。
工法について専門的なのでよくわからないけれど、とても現実的に計算されていて読んでいてすごく面白い。
ピーク時の作業人数、古代は2000人、現代なら60人、
総工費、古代は730億ほど、現代なら20億くらい。
施工年数古代は15年ほど、現代は2年。
全然違う。あたりまえだけど。
ほかに、埴輪が1万5千個使われていたとか、そんなの全然知らなかった。

◆当時のその地域にはそんなに大勢の人が住んでなかったはずだから、
遠くから人を集めてきたらしい、そうならベースキャンプのような場所があるはずだけれど、
それは見つかっていない。

◆古墳を作るための資材を運ぶために、当時は人力だったが、
よりスムーズに運ぶために水路をほっていたんじゃないか、という検討もされているが、
そのような跡は見つかっていない。

◆埴輪は1万5千個ほど使用されていたが、どこで作っていたのか。
運搬のこともあるので近くで製造されていたに違いはないが、窯の跡は見つかっていない。

ていうような、色々な議論がされていて、
結局のところはどうやって建てられたかいまだ謎が多いみたい。
ロマンがすごい!

それ以外にも、ちょっとした古墳の読み物も掲載されていて、とても読みごたえがある。
ああ、大林組のお得意様になりたい。
(やっぱりだけど、お得意様しかその冊子はもらえないと聞いた)


この冊子はわりとお金がかかっていて、文章を書いているひとも小松左京だったり、
写真もとても素敵なものばかり。
おそらく古いものだから、そのセンスがどんぴしゃに好きなもので突き刺さる。
すごく好きなお店に行ったときにあまりの嬉しさに呼吸困難に陥りそうな感じ、それくらいいい。
これは広場特集に載っていたもの。
あまりにかわいくてこっそり撮ってしまった、、、ごめんなさい。
こんな素敵な資料が閲覧できるのに、入場料が無料なので、また見に行こう。
平日、というのがネックだが、、、


あと、ここの資料館でとても面白かったのは、
東京スカイツリーの建設現場の映像が流れていること。
思わず足をとめて見入ってしまった。

建築工法についての話は門外漢でも興味深くみれた。
東京タワーの土台より狭い敷地の中に建っているスカイツリー
高いタワーをしっかり支えるためには、木の根っこのような土台の柱(というのかな?)を使っていたか、とか。
てっぺんの細くなって行っているところはどうやって組み上げたのかとか。

あと、スカイツリーが完成したのが3月18日。
その1週間前、3月11日には東日本大震災が起こった。
あれは平日だったけれど、そのときももちろん工事は進んでいた。
現場は地上500メートル。
いまでさえも、スカイツリーは強風のために展望台に上がるのを制限される場所なのに、
そのときは風の揺れじゃなくて地震の揺れ。
まさにその時も映像がとられていて、必死につかまる工事現場の人たち。
地面にはいつくばってしがみついている人もいた。
想像よりものすごい揺れで、本当に命の危険を感じただろうなぁ、
みんな展望台に降りて、30分かけて点呼をしたという。(全員無事だった、よかった)

2月にスカイツリーに登ったけれど、実はそれほど感動がなかった。
どうなんだろう、意外とみんなそうじゃないだろうか。
(同行者も言ってたし、わたしだじゃないハズ)
スカイツリーに登ったという満足感はあれど、東京の土地は知らないし、
あそこに〇〇があるよ〜ともなんとも言い難い。
でも、建てられていた経緯を知ってから登ってたなら、
きっと、もっとじわりとくるものがあったのではないかな。
これからスカイツリーの登るひとには大林組資料館での映像を見てからいくことをおすすめしたい。

建設現場を上から撮った写真。
これらがまた、すごくいい写真なのだった。